薬局スタッフが停電に備えて確認するイメージ
計画停電に向けた準備を話し合うイメージです。

「来月、建物の点検で停電します」。通知が届いても、営業にどこまで影響するかはすぐに分からないものです。冷蔵庫、調剤機器、電話も、同じ電源で動いているとは限りません。

まずは停電の時間と対象範囲を、通知元へ確認することから始めましょう。そのうえで、止まる設備、医薬品の保管、患者さんへの案内を分けて準備します。

この記事は、予定された停電を前にした準備の整理です。停電中の調剤方法や、個々の薬の使用可否を決めるものではありません。

まず今日確認すること

通知の日時と対象範囲を控え、設備担当と薬局責任者へ共有します。分からない点は、回答を得る担当と期限を決めます。

停電の通知を受けたら

通知を受けた人だけで準備を抱えず、責任者と設備担当に渡します。

薬局設備を一覧にして話し合うスタッフのイメージ
設備ごとに影響を整理するイメージです。

東京都の災害時の薬局業務運営の手引きは、停電や機器停止を想定した事前対策例を示しています。災害時の例であり、今回の予定停電にそのまま当てはめる規則ではありません。

店舗には、建物側が管理する設備と薬局が管理する設備があります。どちらが確認するかを分けると、誰も問い合わせていない項目を見つけやすくなります。

編集部の薬剤師には、現場の工数が崩れ、ほぼ一人で仕事を回した経験があります。自分で抱え続けて限界を迎えました。これは停電を経験したという話ではありません。

その経験から、停電準備も一人の記憶に頼らないことが大切だと考えています。担当と相談先を明らかにし、回答がない項目を残しましょう。

たとえば通知を受け取る人と、設備の状態を確認する人が別なら、最初の受け渡しが必要です。通知の画像や写しを、所属先で認められた方法で渡します。

確認の場では「準備は大丈夫ですか」だけで終えないようにします。何を、誰が、いつまでに確かめるか。残った不明点も次の勤務者へ渡してください。

患者対応の合間に全てを一度で調べられない日もあります。先に回答期限の近い項目を選び、残りの担当を決める方が、作業を止めずに進めやすくなります。

対象と時間を確かめる

日時だけでなく、対象となる建物や区画と、変更時の連絡方法を確認します。

通知と時刻を確認する薬局スタッフのイメージ
通知の内容と、確認が必要な点を分けます。

通知には開始時刻と終了予定が書かれています。ただし、全設備が同じ時間に停止するとは限りません。建物管理者や通知元に対象範囲を確認します。予定変更の連絡先も確かめましょう。

終了予定は、業務再開の約束ではありません。復電の確認や機器の再起動には別の確認が必要です。予定が変わった時に誰が連絡を受けるかも決めておきます。

電話口だけで聞いた内容は、日時、回答者、未確認事項を所属先の方法で残します。掲示や患者案内を準備する人には、決定済みの内容と確認中の内容を区別して伝えてください。

通知の発行元が建物管理会社なら、変更の連絡先も建物側に確認します。店舗が自ら工事を依頼した場合は、契約上の担当窓口を確かめます。

停電の範囲が建物全体か、一部の区画かも重要です。同じ建物の別店舗の案内だけで、自店も同じ条件だと判断しません。

予定時刻が営業開始前でも、準備が不要とは限りません。復電後の確認を行う人が、いつ店舗に入れるかも合わせて相談します。

確認項目は、予定日時、対象範囲、変更の連絡先、回答待ちの四つです。日時をカレンダーへ記すだけでなく、根拠となる通知に戻れるようにします。

止まる設備と影響を洗い出す

コンセントの数ではなく、止まると何ができなくなるかを一台ずつ考えます。

冷蔵庫や端末など対象設備を確認するイメージ
機器を操作する前に、対象と影響を確かめます。

冷蔵庫、調剤機器、端末、電話、照明、自動ドアなどは、店舗の状況に合わせて確認します。非常用電源がある場合も、どの設備を動かせるかは施設側に確かめます。

東京都の手引きには、電子天秤や自動分包機の停電による停止が想定例として挙げられています。例は災害の想定であり、自店の機器がどう動くかは個別の確認が必要です。

同じ手引きは、レセプトコンピューターと調剤機器を別の業務資源として整理しています。前者は処方や会計などの情報を扱うシステムです。端末だけを見て、薬袋の発行や計量まで確認済みとしないための視点です。

一覧は機器名だけでなく、止まると影響する仕事も並べます。たとえば「端末」なら、処理中の作業をどこまで終えたかが分かるようにします。

照明が消える場所では、患者さんとスタッフの移動も考えます。避難設備や建物の安全措置は、施設の管理担当と所定の手順を確認してください。

非常用電源があることと、必要な機器が使えることは別です。電源の容量、接続、操作は管理者や専門担当に相談します。記事を見て配線や切替を自己判断で行わないでください。

端末の保存や停止の手順も、利用するシステムの管理担当に確認します。未保存の作業や処理中の業務があれば、停電前の引継ぎ先を決めます。

突然の機器異常が起きた場合は、予定停電の確認と切り分けてください。薬局の機器故障と修理連絡では、症状と窓口の整理を扱っています。

温度管理品を事前に相談する

保管条件がある医薬品は、製品ごとに確認先と判断者を明らかにします。

電源停止による冷蔵庫と端末への影響を考えるイメージ
設備が動く時と止まる時の違いを、店舗ごとに確認します。

まず対象品、保管場所、必要な条件を所定の手順で整理します。停電中に温度を測れるか、記録を残せるかも設備担当に相談してください。

「数時間なら大丈夫」と一律に判断しないでください。庫内の条件や製品の性質は同じではありません。必要に応じて、製造販売業者や所属先の担当へ製品ごとに問い合わせます。

保冷剤を入れる、別の場所へ移す。こうした対応も、店舗の規程と製品の条件を確かめてから判断します。凍結や移動中の温度変化など、別の問題を生む可能性があるためです。

一般向けの北陸電力送配電のFAQには、家庭用冷蔵庫の停電時の備えが掲載されています。その説明は一般家庭向けです。薬局にある全ての医薬品の品質を保証するものではありません。

問い合わせの際に準備するのは、製品名と保管条件。予定時間や温度記録の方法も添えます。回答を受けたら、誰がいつ確認したかを残します。

複数の製品が同じ棚にあっても、確認先や条件が同じとは限りません。一品だけの回答を、他の品目へ自動的に広げないようにします。

もし予定より長引いた場合に、どの情報を追加で伝えるかも聞いておくとよいでしょう。実測した温度と、記録がない時間を分けて説明します。

温度記録が取れない場合や条件から外れた疑いがある場合も、見た目だけで使用可否を決めません。確認できた事実と、まだ分からない時間帯を分けて伝えます。隔離や使用可否は所属先の手順と担当者の指示に従います。

営業判断と患者案内を分ける

何ができるかを整理し、営業の判断と、それを伝える準備を分けます。

患者案内と連絡方法を相談する薬局スタッフのイメージ
確定した内容だけを案内できるよう準備します。

端末や機器が使えない場合、通常の受付や調剤が続けられるとは限りません。可能な業務、必要な人員、他の医療機関との連絡を整理し、責任者が所属先の手順に沿って判断します。

営業時間の変更などを案内する場合は、決まった内容、期間、問い合わせ先をそろえます。未確定の段階では「必ずこの時刻に再開」と約束せず、更新方法を決めましょう。

電話が使えない場合の連絡窓口も確認します。患者情報を私用端末や通常と異なる経路へ移すことは、便利さだけで決めません。情報の扱いは所属先の規程に従います。

東京都の手引きは、停電とともに電話やインターネットが使えなくなる状況も想定しています。通信手段を複数用意する例がありますが、利用の可否は店舗ごとの確認が必要です。

来局前に知らせる方法と、当日来局した方への案内は別に考えます。Web、掲示、関係先への連絡などは、所属先で承認された方法を使います。

案内には、変更した日時と、確認できる問い合わせ先を入れます。内容を変更した人と更新時刻も残すと、古い案内が残っていないかを確認できます。

別の薬局を案内する場合は、受け入れ可能かどうかを事前に確かめます。連絡が取れない先を、利用できると決めつけないことも必要です。

災害時の連絡網や役割分担全体を見直す場合は、薬局の災害BCPの点検も参考にしてください。

架空例で準備と復電後を追う

確認した内容と回答待ちを分け、復電後まで担当をつなぎます。次は患者情報を含まない架空例です。

日程と設備、担当者間の引継ぎを確認するイメージ
日時確認、設備確認、引継ぎを順に整理します。

ある店舗では、建物管理者から点検停電の予定を受け取りました。担当者は対象範囲と予定時間を確認し、薬局責任者へ通知を渡します。

責任者は冷蔵庫、端末、電話を一覧にしました。端末の停止方法はシステム担当へ確認済みです。温度記録の取得方法は回答待ちとして、連絡担当と期限を残しました。

停電当日、担当は予定変更の有無を確認します。復電後は建物側の連絡を受け、各機器を所定の手順で確認します。通電確認だけで、すべての業務を再開したことにはしません。

温度の記録やシステムの状態に未確認があれば、対象と相談先を明記して引き継ぎます。再開判断は責任者が、製品情報と施設の手順を踏まえて行います。

記録例は「対象」「確認先」「回答」「次の確認」の四欄です。たとえば電話の利用可否が未確認なら、その状態を未確認のまま書きます。

返事が来た後も、誰に伝えたかを残します。担当者が休みの日に停電予定が変わっても、次の人が確認先へ戻れるようにするためです。

再開後に問題が見つかった場合の連絡経路も、先に確認します。動いているように見える画面と、必要な処理が完了した状態は別です。

準備の終わりは、全員が口頭で「大丈夫」と言うことではありません。回答待ちの項目があるなら、そのまま見える形にして次の確認へ渡します。

たとえば、建物側の通知は受領済みでも、電話回線の範囲が不明な場合があります。その時の記録は「通知受領済み、電話は確認待ち」です。確認担当と期限も添えます。

停電が延期された場合は、古い予定を消しただけで終えません。新しい日時と対象を確認し、案内先にも変更を伝えます。確認済みの内容が新しい日程でも有効かを見直してください。

大切なのは、止める判断と戻す判断。担当者が替わる時も、その二つを同じ記録からたどれるようにします。

端末の利用権限や作業の引継ぎについては、薬局の共有端末の確認も併せて読めます。

まとめ:予定と影響、相談先をそろえる

通知の対象と時間を確かめ、設備・保管・案内の担当と期限をそろえます。

日程、設備と相談先をチームで確認するイメージ
決定事項と確認待ちを分けて共有します。

対象と時間を確認し、止まる設備、温度管理品、営業と患者案内をそれぞれ整理します。分からない点を一人で決めず、確認先と期限を残すことが次の行動につながります。

復電後も、機器と保管の確認を経て責任者へ渡します。まずは通知を開き、対象範囲と連絡窓口を一つ確かめてみてください。

よくある質問

停電の長さだけで決めず、設備と製品ごとの条件を確かめます。

Q. 停電予定が短ければ冷蔵品はそのままでよいですか?

時間だけで一律に判断できません。製品の条件、設備、温度記録と店舗の手順を確認し、必要に応じ製造販売業者へ相談します。

Q. 非常用電源があれば全ての機器を使えますか?

接続や容量は施設により異なります。対象機器と使用条件を設備の管理担当に確認します。

Q. 営業するかは誰が決めますか?

業務への影響と利用できる資源を整理し、所属先の手順に沿って責任者が判断します。

Q. 予定終了時刻になったら再開できますか?

予定時刻と再開判断は別です。復電後に機器と保管の状態を所定の手順で確認します。

Q. 停電予定が変更された時はどうしますか?

通知元に最新情報を確かめ、責任者と案内担当へ伝えます。患者向けの案内も決定内容に合わせて更新します。

出典と注意事項

この記事は一般的な準備の整理です。電気設備、医薬品の保管、営業の判断は各施設の手順と製品情報を確認し、必要な担当者へ相談してください。

資料の対象範囲を確かめ、自店の手順と照らして利用してください。